お日様だから大好きで
 

「天気ですか?」
 ロゼットの発言が唐突なのは今に始まった事ではないし、そもそも自分は何を言われても少し挙動不審になってしまうことに自覚もあったが、やっぱりおっかなびっくりになった反応に心の中で溜め息と苦笑を洩らしながら、そう聞き返すアズマリアがそこにいた。
 ちょうど寮の洗濯当番に当たっていて――もちろん当たっているのはロゼットであるが――自然とクロノとアズマリアが手伝っているという状況だった。
 クロノはまだまだ終わらない洗濯物を取りに行っている。

「そう、晴れ、曇り、雨…どれが好き?」
 そう言うロゼットはまるでお日様のように笑う。ただし、ロゼットの雑なシーツの干し方を放置していては、後々シスターケイトの雷が落ちそうだけれど。
 ようやくロゼットの質問を冷静に認識できたらしいアズマリアは他愛もないその質問に対し、真剣に考え込み始めた。
「そんな深く考えなくても良かったんだけど」
「…分かってるんですけど…」
 お互い困らせたいわけではなかったのだが、気付くと2人とも渋い顔になっていた。マズイと思ったアズマリアは慌てて答えた。
「晴れ!…が好きです」
「…そうなんだ」
 慌てて思いつくままにそう答えたアズマリアの前で、急に言われたロゼットはきょとんとした表情だった。
「どうして?」
「え」
 質問に対する答えへの更なる切り返しとしては当然予想の範疇であるべきなのだが、とりあえず思いつくままに声を出しただけのアズマリアには困る返しだった。
 悩みながら目線を動かしたアズマリアの前に広がったいたもの――それは、洗濯日和の優しい日常。
 太陽が眩しくて、 洗濯物の水滴がキラリと光っていた。
 そして、誰よりも太陽みたいな人。アズマリアは自分が咄嗟に口にした言葉が間違えじゃなかったことを確認した。
「…ットに、似てるから」
「うん?」
 よく聞き取れなかったのか、首をかしげて微笑むロゼットは本当に眩しかった。
「お日様はロゼットに、似ているから」
 今度は自信を持って、そう答えた。

 が。
「何よ、アズまでそんなこと言って!」
「え?」
 欲を出せば喜んで貰えるんじゃないかとすら考えたアズマリアに取って、急に機嫌の悪くなったロゼットの台詞は全く持って理解できなかった。
「アズもアイツと同じこと言うことないじゃない!」
「同じことって…クロノも?」
「そうよ!アイツったら『ピーカン晴れはロゼットの頭みたいに能天気な感じですがすがしい』って言うのよ!」
「…」
 確かにそれも一理ある…そう思ったことは事実だけど、それ以上にアズマリアが気付いたこと、それは。

「クロノも、ロゼットが大好きなんですよ」
 まだ怒っているロゼットの側で、アズマリアはそっと呟いた。ロゼットには聞こえないように。






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